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トマールのキリスト教修道院(世界遺産登録:1983年)

トマールのキリスト教修道院は、テンプル教会の修道院としてリスボン北東部にあるトマールの町に建設されました。

1160年にテンプル騎士団により着工し、完成後は騎士団の活動拠点になりました。

しかし1312年、ヨーロッパ全土でテンプル騎士団の活動が禁止されます。

当時の国王ディンス1世は、騎士団のメンバーを集めて新たに「キリスト騎士団」を結成し、修道院は新たな騎士団に受け継がれました。

修道院はテンプル騎士団本部の役割を担ったオリジナルのものから、数世紀かけて拡張されていきます。

1417年にエンリケ航海王子が騎士団団長に就任し、墓の回廊、沐浴の回廊などを増築しました。

1482年にマヌエル1世が騎士団団長に就任すると、新しい回廊や修道院内の装飾や絵画が増設されました。

最終的に修道院は16世紀に完成しましたが、それまで実に4世紀もの時を経ています。

そして、団長が変わるたびに増改築が繰り返されたことで、その建築様式も多様化していきました。

トマールのキリスト教修道院は、ロマネスク、ゴシック、ムデハル、マヌエル、そしてルネサンス様式が見事に集合した建築物です。

最も有名なのは円堂で、ここは外から見ると16角形、内部は8角形という特殊な形をしています。

これはテンプル教会独自の様式で、その他の様式と見事に融合しています。

部分ごとに違った様式を堪能できるのが、この修道院最大の魅力です。