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ピコ島のブドウ畑文化の景観(世界遺産登録:2004年)

ピコ島は、ポルトガル西岸から約1,500kmの地点にあるアゾレス諸島の島です。

9つの島からなるアゾレス諸島の中で、ピコ島は2番目の規模を誇ります。

この島は火山島で、かつては島全体が溶岩で覆われていました。

しかし、ポルトガルが島を発見して入植するようになると、ピコ島では主にカトリックの修道士たちによって開拓が行われました。

溶岩の島を開拓するのは容易ではありませんでしたが、修道士たちは、実に500年もの歳月をかけて島の土壌を変え、豊かな農村地帯にしたのです。

人々は、この生まれ変わった土地にブドウの果樹園を造りました。

このブドウは、溶岩に溶けていたミネラルと日差しの強さによって増した糖度により、デザートワインを造るのに最高の品質になりました。

そして、ピコ島では「ピコ・ワイン」と呼ばれる上質なワインが生産されるようになったのです。

フルーティで見事な琥珀色をしたピコ島の白ワインは、あっという間に人気になり、貴族やロシアの歴代皇帝から愛されるようになりました。

ピコ島の農地は実によくできていて、潮風が強いという欠点を克服するために果樹園には「クラウ」と呼ばれる石垣が築かれ、その全長は地球2周分にもなるといいます。

長い開拓時代を経てブドウ園を中心にした見事な景観が形成され、ブドウと共に成長したピコ島の文化的景観は非常に評判の高いものになり、2004年に世界遺産に登録されています。