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ポルト歴史地区(世界遺産登録:1996年)

ポルトガルの第二の都市・ポルトは、ポルトガル王室と非常にゆかりの深いところで、「ポルトガル」という国名もここから来ています。

ポルトガルの歴史は、紀元前4世紀ごろ始まりました。

現ポルトの地をローマ人が支配し、「ポルトゥス・カレ」と名付けました。

やがてポルトゥス・カレの地は「ポルト」という名前で呼ばれるようになり、結局その呼び方が後々に定着します。

ポルトは8世紀にイスラム教の支配下に入りましたが、1095年、フランスの貴族アンリ・ド・ブルゴーニュがイスラム教徒から土地を奪回することに成功しました。

この功績により、ブルゴーニュにはポルトゥス・カレの伯領を与えられ、その息子アフォンソ1世が王位に就いたことで国名がポルトガルになったのです。

ですから、ポルトはポルトガル王国誕生に際し、非常に重要な役割を果たした場所です。

ポルトは王族が住むポルトガルの首都でしたが、1255年にリスボンに遷都します。

しかし、ポルトガル建国以来今に至るまで、ポルトは王室ゆかりの地であることには変わりなく、エンリケ航海王子もこの地で生まれています。

良港があることから、中世以降のポルトは造船業と貿易で栄えるようになりました。

18世紀には、ポルト港から出荷されるポルト産ワイン「ポルトワイン」が評判を呼ぶようになり、ワインの地としても知られるようになりました。

ポルトは、現在も商業で栄える大都市です。

ポルト歴史地区 -2-

ポルトの町で世界遺産に登録されているのは、旧市街です。

ここには、ポルトガル建国の歴史、またポルトワインによって栄えた繁栄の歴史を今に伝える建物が多く残っています。

市の象徴になっているのは、クレリゴス聖堂にある鐘楼です。

この鐘楼は国内で最も高い76mの高さで、聖堂の後ろにあります。

サンフランシスコ聖堂は、14世紀に建てられた修道院付属の聖堂で、17世紀に改装が行われ、バロック様式の装飾が施されました。

ここは、天井や柱、彫刻などが全て金泥で塗られていて非常に豪華で、商業都市として財政的に恵まれ、大金を投入できたことが伺えます。

修道院は19世紀に家事で焼失しましたが、その跡地にはボルサ宮が建てられました。

ボルサ宮は、イスラム装飾の影響を受けていて、アラベスク模様のタイルを敷き詰めた「アラブの間」があります。

この部屋は、スペインのアルハンブラ宮殿をモチーフにしたといわれています。

ポルト大聖堂は、市内で最も古い建造物で、12世紀初め頃ロマネスク様式で建設されました。

その後、数回の増改築を経て建物外側の殆どがバロック様式に代えられましたが、ファザード正面だけはロマネスク様式のものが残っています。

これら宗教建築物だけでなく、ポルトワイン生産地域の「ヴィラ・デ・ガイラ」を覗いてみるのもまた面白いでしょう。

ポルトでは美しい街並みと極上のワインの両方を堪能できます。