アルコバッサ修道院(世界遺産登録:1989年)
アルコバッサ修道院は、ポルトガル最古のゴシック建築の教会を持つ修道院で、12世紀に建てられました。
この修道院の建立は、ポルトガルの独立をカトリック教会に認めてもらうためのものでした。
1143年にポルトガルが独立した時、カトリック教会だけは独立を認めていませんでした。
ポルトガルとしては、何とか教会に独立を認めてもらいたいところです。
そこで、アルコバッサの地をシトー会に寄進し、そこに修道院を建てることにしました。
アルコバッサは当時、レコンキスタの混乱そのままの荒れ果てた地でした。
しかし、シトー会は土地開拓や水力の技術を巧みに利用し、土地は農作物がよく育つ豊かな土地に生まれ変わったのです。
アルコバッサの修道院はこうして発展し、最盛期には1,000人近くの修道士が暮らしていました。
この修道院で最も有名なのは、ペドロ大王とその恋人イネスの美しい棺です。
ペドロは1334年に結婚した妻コンスタンサの女官、イネスと恋に落ちました。
しかし、正妻がいるにも関わらず恋愛にふけるペドロを父アフォンソ国王は許すことができず、イネスに刺客を送ることで二人の仲を引き裂きました。
このことを根に持ったペドロは、自分が国王になった時、刺客たちを見つけ出して処刑しましたが、彼が二度と幸せになることはありませんでした。
二人は死後、アルコバッサの修道院にある美しい彫刻で飾られた棺の中で永眠しています。