ギマランイス歴史地区(世界遺産登録:2001年)
ギマランイスは、初代ポルトガル国王アフォンソ1世が生まれたところで、「ポルトガル発祥の地」と言われています。
この町には、14世紀から近世までの古い街並みが今も残り、2001年に世界遺産に登録されました。
世界遺産を構成する歴史地区には、実に60もの歴史的建造物があります。
ギマランイスの歴史は、1095年にまで遡ります。
この年、ブルゴーニュのアンリ・ド・ブルゴーニュがカスティリャ=レオン王アルフォンソ6世の娘と結婚し、1109年には後にポルトガルの初代国王になるアフォンソ・エンリケスが誕生します。
アフォンソが誕生したのは、ギマランイスにある城です。
彼は1128年にカスティリャ=レオン王国を打倒して「ポルトゥカーレ公爵」として独立、後に自ら国王アフォンソ1世を名乗りますが、1143年にはついにカスティリャ=レオンから独立が認められ、ポルトガル王国が建国されます。
アフォンソ1世は、ギマランイスを拠点に勢力を拡大し、1147年には現ポルトガルの首都・リスボンを掌握しました。
こうして、ポルトガルはギマランイスの地から徐々にその領土を拡大していったのです。
現在でもギマランイスの人々は、町が持つ建国の歴史に誇りをもって暮らしています。
彼らは、建国以来変わらない街並みを現在も維持することを心がけ、中世に建てられた家々を自分たちで修繕しながら生活しています。
ギマランイス歴史地区 -2-
ギマランイス歴史地区には、ポルトガル王国誕生秘話にまつわる貴重な歴史的建造物が残っています。
アフォンソ1世が生まれたギマランイス城、彼が洗礼を受けたサン・ミゲル教会などです。
ギマランイス城は、959年に第三代ポルトゥカーレ伯の寡婦であるムマドナ・ディアスによって築かれました。
石造りの威厳ある建物は、今私たちが見ると城というイメージよりは、古代遺跡のような趣があります。
ギマランイス城の手前には、サン・ミゲル教会があります。
12世紀にロマネスク様式で建設されたこの教会は一度、老朽化に伴い倒壊しました。
現在残っているのは、20世紀に再建されたものです。
そのほかに有名な観光名所になっているのは、ブラガンザ公爵館です。
この建物は、ジョアン1世の息子ドン・アフォンソが15世紀に建てたものです。
ノッサ・セニョーラ・ダ・オリヴェイラ教会はロマネスク様式とゴシック様式が混じった教会で、現在は美術館として利用されています。
その手前にはアーチがあるのですが、このアーチは1342年、レコンキスタでの戦勝記念に建てられたものです。
これらは観光客が必ず訪れるギマランイスのスポットですが、旧市街地の街並みを堪能しながら、ただ散歩をするだけでギマランイスが持つ中世の世界を十分に満喫できます。
至るところに見られるアズレージョの装飾を施した美しい家々や教会があるのもまた魅力です。